こちらのサイトを見て下さっている皆さんは、もちろん「バレエ」という言葉をご存じかと思います。
では、私たちが今当たり前のように使っている「バレエ(ballet)」という言葉は、いつ生まれたのでしょうか?
今回は、「バレエ」という言葉が生まれたのはいつなのか、分かりやすく簡潔に説明していきます♪
「バレエ」という言葉が生まれたのはいつ?
「バレエ(ballet)」という言葉が実際に生まれたのは、1578年とされています。※諸説あり
1573年に上演した作品を、上演5年後の1578年に『ポーランドのバレエ』と名付けたことにより、初めて「バレエ」という言葉が使われました。
上演当時は「バレエ」という言葉は生まれておらず、人々がその上演作品を語る上で生まれたとされているのです。
中世のフランス語で”踊る”の意「bal(l)er」が動詞として用いられたとされているため、それが名詞化して「bal(l)et」という言葉が生まれた、と考えられています。
しかし、「バレエ」という言葉がどのようにして生まれたのかは諸説あり、
イタリア語で”舞踊劇”の意「バッロ(ballo)」、”短い舞踊”の意「バレット(balletto)」が語源という説もあります。
初めて「バレエ」という言葉が使われた『ポーランドのバレエ』
初めて「バレエ」という言葉が使われた『ポーランドのバレエ』は、
宮廷舞踊をフランスにもたらしたカトリーヌ・ド・メディシスが、4番目の息子(アンリ)をポーランド王にする目的で、ポーランドからの使節をもてなすために作られた作品です。
登場人物であるフランスのニンフと、フランスの16の州を表す別の16人のニンフたちが、会話や朗唱をし、やがてヴァイオリンが奏でる音に合わせて行進し、踊ったとされています。
この祝賀的なスペクタクル(壮大な光景や場面)を表現する言葉として、「バレエ」という言葉が生まれたのです。
ただ、この作品は体裁も内容もほとんどがバレエであったようですが、「スケール」と「輝かしさ」は欠けていたとされています。
By <span lang=”en”>Anonymous</span> – Roy Strong, Art and Power, Boydell Press, 1984, <a href=”//commons.wikimedia.org/wiki/Special:BookSources/0851152473″ title=”Special:BookSources/0851152473″>ISBN 0851152473</a>, plate 79., Public Domain, Link
最初の(宮廷)バレエ作品と言われている『王妃のバレエ・コミック』
「バレエ」という言葉が誕生した1578年の3年後、
1581年に”最初のバレエ”とされている『王妃のバレエ・コミック』が誕生しました。
フランス王アンリ3世の寵臣ジョワイユーズ公爵と、王妃の妹マドモワゼル・ド・ヴォードモンの結婚を祝う式典の一環として、ルーブル宮で上演されました。
神話の人物と神々が延々と踊りや歌を繰り広げる内容で、宮廷バレエだけあって、夜10時~明け方の3時頃まで続く大掛かりな作品でした。
<a href=”https://en.wikipedia.org/wiki/en:Jacques_Patin” class=”extiw” title=”w:en:Jacques Patin”><span title=”French illustrator and engraver”>Jacques Patin</span></a> – <a rel=”nofollow” class=”external free” href=”http://www.gutenberg.org/files/10940/10940-h/images/fig398.png”>http://www.gutenberg.org/files/10940/10940-h/images/fig398.png</a>
Figure 398 in Paul Lacroix, aka Bibliophile Jacob (1874). <a rel=”nofollow” class=”external text” href=”https://www.gutenberg.org/ebooks/10940″>Manners, Customs, and Dress During the Middle Ages and During the Renaissance Period</a>, available freely at <a href=”https://en.wikipedia.org/wiki/Project_Gutenberg” class=”extiw” title=”w:Project Gutenberg”>Project Gutenberg</a>
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Original engraving printed by Ballard as ‘Figure de la Salle’ in Balet comique de la Royne, faict aux nopces de Monsieur le Duc de Joyeuse & madamoyselle de Vaudemont sa sœur. Par Baltasar de Beaujoyeulx, valet de chambre du Roy, & de la Royne sa mere, 1582. <a rel=”nofollow” class=”external text” href=”http://gallica.bnf.fr/ark:/12148/btv1b86083002/f31.image.r=.langEN”>Page 4 recto (unpaged)</a> at Gallica., パブリック・ドメイン, リンクによる
なぜ、『王妃のバレエ・コミック』を”最初のバレエ”とするのか?
『王妃のバレエ・コミック』が、なぜ”最初のバレエ”とされているのか?
それは、バレエに欠くことのできない「諸芸術の融合」という理念を、明確かつ意識的に打つ出した作品だったからとされています。
諸芸術とは「詩・音楽・演劇・美術」の4つのことで、この4つの芸術を統合して、調和と秩序を表現していました。
また、このバレエには政治的意図も含まれており、乱世から平和で秩序ある世への移行を表現していたといいます。
このように、『王妃のバレエ・コミック』とは、諸芸術を融合させた、政治の安定を表現するための作品でした。
まとめ
「バレエ」という言葉が生まれたのは1578年。5年前の1573年に上演された作品を『ポーランドのバレエ』と名付けたことにより、初めて使われた。
【次に読みたい】 (宮廷)バレエは、フランスでどうなっていった?
今回ご紹介したように、フランスに宮廷舞踊が伝わり「バレエ」という言葉も誕生し、バレエ作品も上演され始めました。
ではその後、宮廷バレエはフランスでどのようになっていったのでしょうか?
次回は、(宮廷)バレエがフランスでどのように発展していったのか、をご紹介していきます。